結局

ホテルで夕方までだらだらしてた。
山崎朋子「サンダカン八番娼館」を読んでいた。
まだ途中だが、とても面白い。
いわゆる「からゆきさん」のお話ですね。


シンガポールにいってからというもの、
かつての日本人移民たちへの興味が湧いてきている。
からゆきさんとか日本人会とか。
昔メキシコにいた時も、
日本人移民が初めて作ったノートの復刻版を
配られたのを思い出した。


海外邦人のネットワークのステーションとして、
売春宿が機能していたようで、このことは興味深い。


山崎の仕事が、こういう「男性的な」視点を
批判することから始まっている点は付記しておくべきだろう。
しかし、経営人類学徒としては見逃せない論点だ。
シンガポールの例でいえば、
日本人街は売春地帯からはじまり、
やがて売春宿の元締めが日本人墓地を作ることで
日本人会がスタートしていくのだ。
しかしその後、日本人街は売春婦を
地域から駆逐していく。


経営学のジャンルではしばらく前から
ネットワーキングが盛り上がっているのだが、
これと関連して、これから重要になるのは
コミュニティビルディングのスキルではないだろうか。
(これは僕の造語だけど)


自分自身はどういうネットワークの
どういう位置にいて、どういう役割を担っているのか
(または担わされているのか)。
そして、ネットワークの一要素として、
どのように全体に働きかけ、
ネットワーク自体を「更新」していくのか。


こうした方法論を構成するために、
かつての底辺の日本人たちの生活を学ぶのは
有意義なことだろうと考えている。