タクミくんのこと

さっきリリーの日記(id:ririinoue)を見ていたらバトンに答えており、
[拳銃を手にしたことある?]という質問がまわっていた。


それでタクミくんのことを思い出した。


私は[拳銃を手にしたことがある]。


知ってる人は知っていることだが、
私はメキシコからの帰国子女である。
小学校2年生の始めから4年生の終りまでメキシコシティで過ごした。


その頃、隣のマンションにタクミくんが住んでいた。
タクミくんは確か一学年上の男の子で、
ちょっとアンニュイな感じなハンサムボーイだった。
しかしそれはそれとして私たちは小学生なので、
なわとびをしたり鬼ごっこをしたりして遊ぶのだった。


私とタクミくんはよく一緒に遊んでいた。
大体メキシコシティは治安が悪いので、
日本人の子供は外で遊んだりできない。
だからマンションの敷地の中で遊ぶのだ。
その日はピストルごっこをして遊んだ。
そのときにタクミくんが本物の銃を持ってきたのだった。


メキシコではスーパーで銃を売っていた。
(今はどうだか知らない)
よくヒガンテにいくと、ショーウィンドウに猟銃が並んでいた。
引き金のところにある指を保護するわっかのようなもの
に金属の棒を通して取れなくしてあるのだ。
ちなみにヒガンテはでかいスーパー。
スペイン語ジャイアントのことである。


タクミくんのもってきたのは拳銃で、弾は入っていなかった。
「弾が入ってるともっと重いんだけど」とタクミくんは言っていた。
私たちはその銃を使って遊んだ。
のぼってはいけない階段をのぼったりして。
弾が入ってなくても重いので、持ってるうちに手が痛くなった。


タクミくんは変な子で、隣に住んでるメキシコ人の子とよく遊んでいた。
その時はメキシコ人の子の庭で、
チョコでコーティングしたマシュマロのバーを
空気銃でぱしぱし撃っていた。
マシュマロバーは柔らかいので、すかすか貫通するのだ。
割れるとふちが白くなる薄いチョコ。


普通の日本人の子供はメキシコ人の子と遊んだりはしない。
タクミくんは家庭があまりうまくいってない系の子だったらしく、
そういう形でなにかを発散していたのかもしれない。


まあでも今にして思えば、
小学生が触れるところに拳銃はおいておかないから
あれはよくできたおもちゃだったのかもしれないな。
思い出の中の拳銃。はは。