日々の遠さ

 亡くなった友人の部屋を整理しに行った。


 昼過ぎ、寝過ごしてやや遅刻しながら故友人宅へ。既に他の友人達は来ていた。
特に仕事をするでもなくだらだらと過ごす。


 しばらくすると故友人のお母さんと妹さんが来た。初対面。お母さんも妹さんもやはり故友人に似ている。なんとなく荷物を整理する方向に。


梱包。梱包。梱包。


    意外にいいお兄さんであったこと。
    「あの子は口が遅くて。」
    ひらひらした水玉のシャツ。
    『フルメタルジャケット
    生化学事典。
    社会学基礎論。
    税理士。


 彼は春の日の琵琶湖疎水の美しさを見ただろうか?


 形見分けにもらった二脚の緑色のワイングラスは、背が高すぎてうちの食器棚には入らなかった。なんとなく象徴的な感じがして悲しかった。