文系理系 あるいは制度的なフィクションについて

はてなで文系と理系の本質的な違いは
何かを聞く質問がでていて、興味深い。
私もあとで回答することにしよう。


関係ないが。
以前id:yoru_hikaru氏と話していて、
「私は経済学部だが経営学科なので経済学のことは知らない」
といったら、
「ほんとに経営学と経済学は関係ないの?ないの?」
と問い詰められ、詰まった。
氏は経営学は経済学の一部と(もしくは下位概念と)
思っていたのかもしれない。
「だって経済学部経営学科なんでしょ?経済学やらないのおかしいじゃん」
というようなことを言われ、
「じゃあ君は総合人間学をやってるのか。総合人間学ってなんだ!」
と切りかえしたら、
「それは制度的なフィクションだから」
と流された。


しかし今にして思えば経済学部経営学科ってのも
制度的なフィクションなんだよね。
欧米では経営学部と経済学部は普通別だ。
何でも欧米が正しいというわけではないが、
実際やってることはあまり関係ないものが多い。
(もちろん関係ある分野もある。ミクロ経済学とか。知らないけど)


これは歴史的な背景があり、
旧帝大系は経済学、旧高商系は経営学が普通強い。
これは帝大系が戦前
「けっ。金勘定なんざそろばん学校にやらせとけ。
やっぱアカデミズムはマルクスだよねー」みたいな風潮で
赤々としていたのに対し、
戦後旧高商系の一橋とかの人が
「けっ。役にもたたねえ学問やりやがって。これからは企業の時代じゃ」
と逆襲をし、経営学の主流をおさえてしまった。


なので、旧帝大系経済学部には
1.まだまだいけるよマルクス経済学
2.数学出来るよ近代経済学 
3.なんだか居場所がないよ経営学
がいたりして、私は3番の出身だが、
3は最近ビジネススクールの流行とかでやや脚光を浴び、
嬉しがっている(でも成功するかどうかは不明)。


そしてこういうのはどこの大学でもあるらしく、
首大騒動の時、都立大の近代経済学の人が抜けてしまったりしたようだ。

都立大の戸田裕之教授のブログ
http://malloc.ddo.jp/tblog/index.html
にある、「昔々あるところに」などを読むと事情がわかり、面白い。
同じサイトの「近代経済学グループ声明」の最後にある
『わが国では,歴史的な理由により,
「世界標準の経済学 (Economics)」を「近代経済学」と呼ぶ。』
という注意書きも素敵。


「関係ないが」で始めたけど、まあ文系理系ってのにも
同じような「歴史的経緯」てやつがあるから
そこを踏まえて回答したいな。